半年期間工、半年沈没生活
私がまだ大学生の頃、夏休みを利用してとある工場の期間工になった事があるのです。
契約期間は2ヶ月間で、とある自動車工場のエンジンの組立をして夏休みの間に稼いでバイクを買うつもりでした。
この経験は私の中でとても重要な時間といえるのですが、工場の仕事というのは本当に大変で自分が機械の一部にならないといけなく、自分のやり方や自分の考え方などは全く必要ない世界なのです。
組み立てるエンジンブロックが流れてくるとそれにボルトを挿していく、ねじ込む、これを決まった秒数でやってのけるのです。
秒数ですよ、秒数。
自分の作業をひとつのエンジンで20秒とか決められているのです。
それを1日8時間、長いところだと10時間以上働く工場もあるそうですが、やってもやっても終わりは見えず地獄のような日々でした。
それで疲労困憊になって寮に帰るとそこには更に恐怖が待ち受けています。
全国から普通の仕事にはつけないような人たちが集まっているので、ストレスが開放される事なんて全くありませんでした。
・ヤクザ崩れ
・借金から逃げてきた
・刑務所を出所したが仕事につけないので来た
・地元の企業すべてに就職できなかった
・ギャンブルで身を崩した
・精神に異常があるので普通の仕事ができない
こういう人たちが集まっているので、寮の中ではケンカや盗難が頻発していましたし、食堂の炊飯器に小便が入っていたり、浴槽に大便が浮いていたりなんていうのは当たり前の世界です。
刑務所から出た人が言っていて印象に残ったのが、
「ここより刑務所の方が楽だよ。」
という言葉です。
よく外こもりをテーマにした本やネットの情報を見ると、半年は期間工で稼いで、半年は海外で遊んで暮らす人がいるという話をききますが、長くは続けられないことでしょう。
何もせずにタイで生活をしていると、一日がとても早く感じられ、あっという間に一ヶ月が過ぎていき、また工場で働く日が近づいてくるのです。
それを思うと憂鬱になってしまいますので、結局外こもりを楽しんでいるかといえばそうではないということに気付かされるはずです。
それが嫌で、誰にでもできるコールセンターに堕ちていく人が多いのだとか。
しかし、タイのコールセンターに勤めていた人に聞くと、
「コールセンターで働いている連中なんて、バックパッカー崩れや、外こもり崩れ、コミュニケーションが普通に取れない人ばかりだよ。」
という話をよく聞きます。
結局帰るも地獄、残るも地獄というわけです。
実は外こもりをするのに、「カネがないから海外で」というのはちょっと難しい事かもしれません。
貯蓄が十分あるとか、年金がある、収入が定期的にあるという人には向いているかもしれませんが、少ない貯蓄が尽きるまでやるというのは本当に止めたほうが良いのかもしれません。