タイで海外生活実践編

なぜかタイに住むことになった地獄の日々

弘道会組員

気をつけたいこと

弘道会の人に拉致られた思い出

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何か最近、山口組と神戸山口組の対立抗争で連日日本のニュースは盛り上がっていて、やれ組事務所に火炎瓶を投げられただの、ブレーキとアクセルを間違えて事務所に突っ込んだだの、物騒な世の中になっています。

そんなニュースを見ていると、よく耳にするのが、「弘道会」という山口組の団体です。

この弘道会という名前を聞くと、あの地獄の様な名古屋での出来事を思い出します。

 

電車の中で地獄を見た

1998年、長野オリンピックで日本が有頂天だった頃、紅顔の美少年だった当時大学生の私は、電車で旅行をするのが好きで、一人広島から東京へ電車の旅に出ていました。

大阪から名古屋に行く道程を「近鉄アーバンライナー」を選び、ガラガラに空いた座席に座り、タバコをふかしていたのですが、後ろに座ったオッサンが大声で携帯電話で話しているのです。

「おう、おう、車は修理に出した、今から帰る。」

死ねよ。

やたら正義感が強い時ってあるじゃないですか?特に若い時にはその無意味な正義感に駆り立てられるものです。

アーバンライナーの静寂を守るのは俺だ。

ちょっと舌打ちをしてから、注意するために後ろを振り返ると、そこには絶対に機嫌を損ねてはいけない人が鎮座されていました。

横山 剣

あの、クレイジーケンバンドの横山 剣が

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派手な毛皮のコートを着てこっちを睨んでくるのです。

もうね、本能が危険を知らせてくる。

人間って蛇を見ると恐怖のあまり、冷静じゃいられなくなるじゃないですか?それと同じで、本能がこの生物は危険だと教えてくるのです。

あ、どうも。みたいな引きつった笑顔で会釈をし、座席に深々と隠れるように座り込んだのは自然の流れです。

「おう、おう。保険屋には俺から話をつけとくから。名古屋に着いたら連絡する。」

電話もやっと終わったようです。うん、なんか話がうまくまとまったようで良かったです。ほんと良かった。

「おい、にーちゃん」

ぼ、僕ですか?嫌、違う。絶対に違う。そう思いながら静かに寝たふりをしようとしたその時、肩をポンポンと叩かれたます。

「おい、にーちゃん。名古屋に用事か?帰るんか?」

どうでも良いじゃないですか?ほっといて欲しいじゃないですか?でも、この手の人って異常にコミュニケーション能力が高いというか、押しが強い人が多いんです。

私「いや、友達に会いに行きます。」

剣「そうか?可愛い顔してんな、何やっているんだ?音楽系か?ホスト系か?」

こういう人は絶対に機嫌を損ねてはいけません。ダメ、ゼッタイ。

私「ありがとうございます。でも、ただの大学生です。」

剣「そうか、そういうのやったら絶対客つくぞ。」

ほんと余計なお世話です。ペコペコお礼をした後、剣さんは眠ってしまった様で、沈黙だけが名古屋まで続き事なきを得ました。

 

名古屋到着、拉致される

あと数分で名古屋に到着しようとする頃、まんじりともせず、リクライニングをすることもせず不動の姿勢をとっていた私にまたあの恐ろしい声が聞こえてきます。

剣「おい、にーちゃん。」

私「は、はい。」

剣「時間あるか?酒でも飲みに行こーや。」

絶対嫌です。何が楽しくてヤクザと盃を交わさないといけないのでしょうか?もういろんな嘘をつくしかありません。

私「行きたいんですが、友達が待っているので、すぐ行かないといけないんです。」

剣「どこで待ってんだ?」

名古屋に何の土地勘も無い私は、適当に知っている地名を口にしますが、これが災いします。

私「栄に行きます。」

剣「おー、栄か。俺も栄に飲みに行くんだから丁度いいな。よし、行こう。」

決定ですか?さっき時間あるか聞いたじゃないですか?時間なくても連れていくつもりだったはずです。腹をくくり、ちょっとだけならとついて行ったのですが、前述した通り、こういう人の機嫌を損ねてはいけませんので、おだてることに全神経を使います。

タクシーの中での時間はそれまで一番の緊張の時でした。

剣「いやな、大阪に行ったら乗ってたベンツにガキがぶつかってきやがって、それで電車に乗ったんだ。」

私「ベンツですか?すごいですね、でも許すなんて懐が広いんですね。」

剣「許さねーよ。ガキに弁償させても払えないのは分かってるから、保険屋と交渉だな。」

全然やさしくありません。この人と交渉する保険屋さんってどれだけ不幸なんだろうと。それから剣さんはおもむろにルイ・ヴィトンのバッグから一枚のポスターを取り出します。

剣「こんなもん貼られたらたまったもんじゃないな。」

よく見ると、指名手配のポスターです。

私「え、それって持ってきちゃいけないやつじゃないんですか?」

剣「何で?こんなもん貼られたらオヤジが捕まるだろ?」

※今になって調べてみたのですが、1998年に指名手配されていたのは、現山口組の司忍組長、当時の弘道会会長でした。それで、司組長をリスペクトするお姿をされていたのですね。

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私「あの、ちょっとお聞きしたいのですが、ヤクザ関係のお仕事をされているのですか?」

剣「え?お前気づいてなかったんか?弘道会だ。」

ちょっとでも親近感を持たせる事だけを考えます。そう、人が親近感を持つには同じ価値観、同じ認識を共有することです。

私「こうどうかい、あ、知ってます。仁義無き戦いで有名な…」

剣「それ、共政会だろ。」

マイナス1ポイント。完全に裏目に出てしまいました。車内に嫌な沈黙が数分流れた時、剣さんが口を開きます。

剣「名古屋はほんと田舎だな。」

さっきのマイナスポイントを取り返すためには、ここが勝負の時です。

私「そうですか?すごく広くて綺麗な街に見えますよ。」

剣「そん事ねーよ。広いだけの田舎だ、なー運ちゃん。」

これまで運転マシーンと化し、関わらないようにしていた運転手に同意を求めます。これって何を答えても正解が無い内容です。腕の見せどころでその運転手は「へへ、どうでしょうねー」とかバカな答えをやってのけます。

アホかと、誰がそんな答えを期待してるよ?もっとおだてれば良いじゃん。ほんと使えねー奴。今は優し目に話してくれている剣さんも、ひと度火が着いたら絶対鎮火できないよ。

俺の、俺の話を聞けーい!

とかブチ切れられたらどうするんだよ?

運転手も動揺していたのか、停車時ニュートラルに入れていたのを忘れ、信号が青に変わった時、ブオーンとかアクセル吹かして剣さんに「おい!」とか言われてるし…。

 

人生初のフィリピンパブ

剣さんが連れて行ってくれる店というのは、栄にあるフィリピンパブらしいのですが、こっちは十代の大学生。この歳でフィリピンパブとか行かないじゃないですか?システムも分からないし、何をしていいのかも分からない。

店に入るやいなや、フィリピン女が「ケーンさーん、あなた来る言った、来ない、わたしなみだ。」とか訳の分からない日本語で剣さんに抱きつきます。

これは、アウトじゃないの?セーフ、セーフなんだ、良かった。

剣さんの笑顔でフィリピン女の対応は間違っていないことを悟ります。それと同時に、私はこの店ではフィリピン人よりも格が下だという事も同時に悟ったのです。

隣に着いたフィリピン人に、「あなたカッコいいね、けんさんのともだち?」とか聞かれても、「いえ、友達なんて滅相もありません。剣さんに連れて来ていただいただけです。」とかフィリピン人にも敬語で話し、ソファーの背もたれも使わず、背筋をピンと伸ばして座ります。

「あはは、すわるいいよ。リラックスー。」

出来ねーよ。

なんだかんだで2時間、その地獄のフィリピンパブで過ごし、携帯に友人から着信があったふりをして、丁寧に剣さんにお礼を言って逃げるようにその場を脱出しました。

とにかく早くこの土地から離れなくてはいけない。その一心でタクシーを拾い、「とにかく走ってください」とか無理なオーダーをしたのを覚えています。

事の成り行きを運転手さんに話すと、「え?何もされなかったんですか?良かったですねー。ほんと危ないですよ。」とか言われるし。

 

対立抗争のニュースを見ていると、よく弘道会の組員の映像が出るので剣さんを探しているのですが、その姿を見ることはできず、ちょっぴり心配しています。

当時50代前後だったのでもう引退されたのかもしれませんね。

剣さん、あの時のお酒、ごちそうさまでした。

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